【クロス円 見通し(2026/1/5~1/9)】ベネズエラ空爆で円高・ドル高・資源国通貨安のトリプルショック?

【クロス円 見通し(2026/1/5~1/9)】ベネズエラ空爆で円高・ドル高・資源国通貨安のトリプルショック? FX週間予想

週明け月曜のクロス円市場は、過去数年で最も荒れた相場展開を迎える可能性があります。

1月3日未明に発生した米軍によるベネズエラ大規模空爆、そしてマドゥロ大統領の拘束という歴史的事件は、金曜NYクローズ後に発生したため、グローバル市場はこの衝撃を一切織り込んでいません。

今回の地政学リスクがクロス円に与える影響は、ドル円以上に複雑かつ破壊的です。理由は以下の3つです。

①「有事の円買い」が発動する
歴史的に、予期せぬ軍事衝突が発生すると、安全資産としての円に資金が逃避します。特に主権国家の政権転覆を伴う今回のような事態では、リスク回避の円買い圧力は極めて強くなります。

②「有事のドル買い」も同時発生する
一方で、米軍が主導した作戦であり、原油高によるインフレ再燃懸念から米金利が底堅く推移する場合、基軸通貨である米ドルも買われます。

③その結果、EUR、GBP、AUD、NZDなどの「第三国通貨」が板挟みになる

つまり、ドル高と円高が同時進行する環境では、クロス円(EUR/JPY、GBP/JPY、AUD/JPY、NZD/JPY)は両側から売り圧力を受けることになります。

さらに深刻なのは、欧州通貨(EUR、GBP)はエネルギー輸入国として原油高が直接的な景気悪化要因となり、資源国通貨(AUD、NZD)はリスクオフ時に真っ先に売られる高ベータ通貨であるという構造的な弱さです。

月曜朝のオープンでは、クロス円全般で大幅なギャップダウン(円高方向)が不可避です。問題は、そのギャップが「買い場」なのか「売り場」なのか──そして、今週生き残るための戦略をどう組み立てるかです。


  1. 【欧州通貨】ユーロ円・ポンド円の見通し:スタグフレーションへの恐怖
    1. エネルギー輸入国・欧州の悪夢が再来する
    2. ユーロ円 見通し:184円からの急落シナリオ
    3. ポンド円 見通し──211円は「崖っぷち」、210円割れで奈落へ
      1. 【現状認識】211円という「異常な高値圏」の意味
      2. 【月曜朝の予想】207-209円でのギャップダウンスタート
      3. なぜこれほど大きなギャップになるのか?
      4. 【週間レンジ予想:205-212円】重要レベルの徹底解説
        1. 上値抵抗(戻り売りポイント)
        2. 下値支持(押し目買いは危険)
      5. 【シナリオ分析】今週のポンド円はこう動く
        1. メインシナリオ(確率60%):207-211円のレンジで戻り売り優勢
        2. リスクシナリオ(確率30%):205円割れ→200円へ加速
        3. ポジティブシナリオ(確率10%):210円維持→211円回復
  2. 【資源国通貨】豪ドル円・NZドル円の見通し:資源高 vs リスクオフの結論
    1. 「資源価格上昇=資源国通貨買い」という教科書は初動では機能しない
    2. 豪ドル円 予想:105円がレジスタンスへ転換、100円への下押し圧力
    3. NZドル円:最もボラティリティが高い「危険通貨ペア」
      1. 想定ギャップダウン幅:1.5-2.5円(約1.5-2.7%)
      2. 週間レンジ:87-92円
      3. ボラティリティ警戒度:★★★★★(最高レベル)
  3. 【最終結論】今週のクロス円:「初動リスクオフ→週後半の綱引き」を想定
    1. 勝ち組トレーダーへの最短ルート

【欧州通貨】ユーロ円・ポンド円の見通し:スタグフレーションへの恐怖

エネルギー輸入国・欧州の悪夢が再来する

欧州にとって、今回のベネズエラ危機は2022年のウクライナ侵攻の悪夢を思い起こさせます。

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻では、エネルギー価格の急騰により、ユーロとポンドはG10通貨の中で円とともにワースト3に沈みました。MUFGのリサーチによれば、侵攻後3ヶ月間で、エネルギー依存度の高い欧州通貨は「スタグフレーション的ショック」──景気減速とインフレ加速が同時に起こる最悪の組み合わせ──に直面しました。

今回のベネズエラ攻撃は中東全面戦争ほどの供給ショックではありませんが、WTI原油が60ドルを突破し、ブレント原油も上昇する可能性が高い状況です。欧州にとっては「再びエネルギーコストがじわじわ上がる」展開であり、景気にはマイナス、物価にはプラスという、中央銀行にとって最も対応が難しい局面です。

ユーロ円 見通し:184円からの急落シナリオ

【現状認識】
ECBの公表データによれば、1月2日時点でユーロ円は184円近辺で推移しており、高値圏を維持していました。しかし、この水準はベネズエラ危機を全く織り込んでいません。

【月曜朝の予想】
月曜朝のオープンでは、181-182円台でのギャップダウンスタートを予想します。ギャップ幅は約2-3円(1.0-1.5%)を想定しており、これはクロス円の中では比較的「マイルド」な部類に入りますが、それでも通常の日足の値幅に匹敵する衝撃です。

【週間レンジ予想:181-186円】

  • 上値抵抗:184円(前週終値水準)、186円
  • 下値支持:181円(月曜朝の想定オープン)、180円(心理的節目)
  • さらに崩れた場合:168円(過去のレジスタンス転換ゾーン)、165円(中期サポート)

【シナリオ分析】

メインシナリオ(確率60%):181-184円のレンジで戻り売り優勢

  • 月曜のギャップダウン後、ショートカバーで一時182-183円まで戻すが、欧州時間以降にリスクオフが再燃し、戻り売りに押される展開。
  • ECBがインフレ再燃懸念を示すか、ユーロ圏の景気指標が悪化すれば、じりじりと下値を試す動きが継続。

リスクシナリオ(確率30%):180円割れへの加速

  • 株式市場がパニックに陥り、VIXが30を超えるような本格リスクオフになれば、180円を割り込み、週後半に175-178円ゾーンまで調整する可能性。

ポジティブシナリオ(確率10%):185円回復

  • ベネズエラ情勢が予想以上に早期に落ち着き、OPEC+が増産を表明するなど原油高懸念が後退すれば、週後半に184-186円への戻しもありうるが、蓋然性は低い。

ポンド円 見通し──211円は「崖っぷち」、210円割れで奈落へ

【現状認識】211円という「異常な高値圏」の意味

ポンド円211円という水準は、以下の点で極めて脆弱なポジションです。

①歴史的高値圏に位置している
211円は2024-2025年の高値圏に位置しており、テクニカル的には「買われ過ぎ」の領域です。RSIなどのモメンタム指標も過熱感を示している可能性が高く、調整の口実を探している状態と言えます。

②「有事の円買い」×「欧州エネルギー懸念」のダブルパンチに最も脆弱

  • ポンドはエネルギー輸入国・英国の通貨であり、原油高は景気にマイナス
  • 円は安全資産として、地政学リスク発生時に買われる
  • つまり、ベネズエラ危機は「ポンド売り要因」と「円買い要因」が同時に発動する最悪のシナリオ

③流動性の薄さがボラティリティを増幅させる
ポンド円はクロス円の中で最もボラティリティが高い通貨ペアです。月曜朝のアジア早朝は流動性が極端に薄く、「フラッシュクラッシュ」的な急落が過去に何度も発生しています。


【月曜朝の予想】207-209円でのギャップダウンスタート

211円という高値圏からのギャップダウンは、2-4円(約1.0-2.0%)を想定すべきです。

想定オープンレンジ:207-209円

これは「控えめな」予測です。リスクオフの度合いが深刻化すれば、205円台でのオープンも十分にありえます。

なぜこれほど大きなギャップになるのか?

理由①:ポジションの偏り
211円という高値圏では、多くのトレーダーが「ロング(買い)ポジション」を保有しています。週末を越えて地政学リスクが発生したことで、月曜朝に一斉に損切り(=売り)が殺到します。

理由②:ストップロスの集中
テクニカル的に、210円、208円、205円といった「キリの良い数字」には大量のストップロス注文が設定されています。これらが連鎖的に発動すると、「ストップ狩り」→さらなる下落→次のストップ発動という悪循環に陥ります。

理由③:2022年ウクライナ侵攻時のパターン
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻では、ポンド円は週明けに約3円(2%)のギャップダウンでスタートし、その後も下落が継続しました。今回のベネズエラ危機も同等以上の衝撃を持つ可能性があります。


【週間レンジ予想:205-212円】重要レベルの徹底解説

上値抵抗(戻り売りポイント)

211.00円:前週終値・強力なレジスタンス

  • 月曜朝にギャップダウンした後、仮に戻しがあったとしても、211円は「天井」として機能する可能性が極めて高い。
  • ここまで戻せば、絶好の戻り売りチャンスと捉えるべきです。

212.00円:心理的節目

  • 211円を突破して212円まで戻すシナリオは、今週に限っては確率10%以下と見るべきです。
  • もし212円を突破するようなら、ベネズエラ情勢が予想以上に早期に落ち着いたか、FRBが超ハト派発言をしたか、いずれにせよ「想定外のポジティブ材料」が必要です。
下値支持(押し目買いは危険)

210.00円:最初の心理的節目──しかし脆い

  • 210円は「キリの良い数字」として意識されますが、ここでの押し目買いは極めて危険です。
  • 理由:210円の下には大量のストップロス注文が控えており、一度割り込むと加速的に下落する可能性が高いため。

208.00円:短期サポート──ここも信頼できない

  • 月曜朝のギャップダウンで208円台に到達した場合、一時的なショートカバー(買い戻し)が入る可能性はあります。
  • しかし、リスクオフ環境が継続する限り、「戻り売り」の圧力が勝ちやすく、再び下値を試す展開を想定すべきです。

205.00円:重要な中期サポート──「最後の砦」

  • 205円は、テクニカル的にも心理的にも極めて重要な水準です。
  • ここを明確に割り込むと、「中期トレンド転換」として意識され、200円方向への加速が始まります。

200.00円:最終防衛ライン

  • 今週中に200円まで下落する確率は20-30%程度と見ていますが、「VIXが30超え」「日経平均が-3%以上の暴落」といった本格リスクオフになれば、十分に到達しうる水準です。

195円以下:パニックシナリオ

  • 195円まで下落するには、「ベネズエラ情勢の泥沼化」「世界同時株安」「英国独自の悪材料(例:予想外の景気指標悪化)」が重なる必要があります。
  • 確率は10%以下ですが、ゼロではありません。

【シナリオ分析】今週のポンド円はこう動く

メインシナリオ(確率60%):207-211円のレンジで戻り売り優勢

ストーリー:

  1. 月曜朝、207-209円でギャップダウンスタート
  2. アジア時間にショートカバーで一時209-210円まで戻す
  3. しかし欧州時間以降、リスクオフ再燃で再び下落
  4. 週中は208-211円のレンジで推移し、戻りは売られる展開
  5. 週末には207-208円で引ける

このシナリオで勝つ戦略:

  • 209-210円への戻しがあれば、そこを戻り売りのチャンス
  • 利確目標:207円(第1目標)、205円(第2目標)
  • 損切りライン:211.50円突破
リスクシナリオ(確率30%):205円割れ→200円へ加速

ストーリー:

  1. 月曜朝、205-207円での大幅ギャップダウン
  2. 株式市場がパニックに陥り、VIXが30超え
  3. 205円のサポートを明確に割り込み、ストップロスの連鎖が発生
  4. 週中に200-203円ゾーンまで下落
  5. 「ポンド円200円割れ」が現実味を帯びる

このシナリオで生き残る戦略:

  • 205円を明確に割り込んだら、追撃ショートも視野に
  • ただし、ボラティリティが極めて高いため、ポジションサイズは通常の1/3以下に
  • 利確目標:200円
  • 損切りライン:208円回復
ポジティブシナリオ(確率10%):210円維持→211円回復

ストーリー:

  1. 月曜朝のギャップダウンが予想より小さく、209円台でスタート
  2. ベネズエラ情勢が予想以上に早期に落ち着く
  3. OPEC+が増産を表明し、原油高懸念が後退
  4. リスクセンチメントが急速に改善し、週後半に210-211円へ回復

このシナリオで勝つ戦略:

  • 「このシナリオに賭けない」ことが最善の戦略
  • もし本当にこの展開になったら、素直に損切りして次のチャンスを待つ

【資源国通貨】豪ドル円・NZドル円の見通し:資源高 vs リスクオフの結論

「資源価格上昇=資源国通貨買い」という教科書は初動では機能しない

多くのトレーダーが陥る罠があります。それは「原油高=豪ドル・NZドル買い」という単純な発想です。

しかし、歴史は別の教訓を教えています。

2022年2月のウクライナ侵攻では、コモディティ価格が全面的に急騰したにもかかわらず、侵攻直後の数週間、AUD・NZDは対ドル・対円ともに軟調にスタートしました。理由は明確です──リスクオフ環境では、ボラティリティの高い高ベータ通貨は真っ先に売られるからです。

資源高が資源国通貨にポジティブに働くのは、「リスクが落ち着き、世界経済の成長期待が回復した後」です。初動1週間という時間軸では、「株安・クレジット不安・リスクオフ売り」が「資源高ポジティブ」を圧倒するのが歴史的パターンです。

豪ドル円 予想:105円がレジスタンスへ転換、100円への下押し圧力

【現状認識】
1月2日時点で、豪ドル円は105円ちょうど(高値105.03円)で取引を終えており、2026年入り直後は高値圏でのスタートとなっていました。

【月曜朝の予想】
月曜朝のオープンでは、103-104円台でのギャップダウンスタートを予想します。ギャップ幅は約1-2円(1.0-2.0%)です。

重要なのは、105円が「サポート」から「レジスタンス」に転換するということです。つまり、仮に週中に一時的な反発があったとしても、105円が上値を抑える強力な壁として機能する可能性が高いのです。

【週間レンジ予想:102-106円】

  • 上値抵抗:105円(前週終値水準、強力なレジスタンス)、106円
  • 下値支持:103円、100円(心理的節目・中期サポート)
  • さらに崩れた場合:98円、95円(2025年後半の安値圏)

【シナリオ分析】

メインシナリオ(確率65%):103-105円のレンジで戻り売り優勢

  • 月曜のギャップダウン後、103円台でショートカバーが入り、一時104-105円まで戻す。
  • しかし、株式市場の不安定さとリスクオフ優勢の環境では、105円が上値を抑え、週後半にかけて再び103円、場合によっては100円方向を試す展開。

リスクシナリオ(確率25%):100円割れへの加速

  • グローバル株安が深刻化し、中国経済指標も悪化した場合、豪ドル円は100円の心理的節目を割り込み、98-99円ゾーンまで調整する可能性。
  • 100円を明確に割り込むと、「中期トレンド転換」として意識され、さらなる下落圧力が強まる。

ポジティブシナリオ(確率10%):106円回復

  • 原油高が豪州の交易条件改善として好感され、かつ中国のインフラ刺激策が発表されるなど、リスクセンチメントが急速に改善すれば、週後半に105-106円への反発もありうる。ただし、今週に限ってはこのシナリオの蓋然性は極めて低い。

NZドル円:最もボラティリティが高い「危険通貨ペア」

前週終値:90.43円

想定ギャップダウン幅:1.5-2.5円(約1.5-2.7%)

月曜想定オープン:88.5-89.5円

NZD/JPYは、クロス円の中で最もボラティリティが高く、最も流動性が薄い通貨ペアの一つです。

なぜこれほど危険なのか:

  • 豪ドル円よりもさらに流動性が薄く、スプレッドが広がりやすい
  • ストップロスが誘発されやすく、「スパイク」的な動きが頻発
  • リスクオフ時には最も敏感に反応する

週間レンジ:87-92円

上値抵抗:

  • 91.00円:前週終値。ここまで戻る可能性は低い。
  • 92.00円:心理的節目。今週ここに到達する確率は5%以下。

下値支持:

  • 89.00円:短期サポート。
  • 88.00円:重要なサポートゾーン。
  • 87.00円:中期サポート。本格リスクオフなら到達する可能性も(確率40%)。
  • 85.00円:パニックシナリオ。ここまで下がるには、極端なリスクオフが必要。

ボラティリティ警戒度:★★★★★(最高レベル)

トレード推奨:

  • 初心者は今週のNZD/JPY取引を完全に避けるべき
  • 中級者以上でも、ポジションサイズは通常の1/4以下に
  • スリッページが大きいため、成行注文は極力避け、指値注文を活用

【最終結論】今週のクロス円:「初動リスクオフ→週後半の綱引き」を想定

今週のクロス円相場を一言でまとめるなら、「月曜朝の大幅ギャップダウン→週中の戻り売り優勢→週後半はリスクセンチメント次第」という展開になるでしょう。

通貨ペア別の優先順位:

  1. 最も危険:NZD/JPY、GBP/JPY
  2. 中リスク:AUD/JPY、EUR/JPY

戦略:

  • 月曜朝は完全に様子見。焦って飛びつかない。
  • 欧州時間以降、トレンドに素直に乗る(初動は戻り売り優勢)
  • レバレッジを抑え、ストップロスは必ず設定

本レポートは情報提供を目的としており、投資の勧誘を目的としたものではありません。クロス円取引は高いリスクを伴います。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。