2026年1月12日から始まる週は、為替市場において今年の方向性を決定づける最重要週となります。
特に火曜日の米消費者物価指数(CPI)と水曜日の卸売物価指数(PPI)は、FRBの金融政策を左右し、ドル円をはじめとする主要通貨ペアに100pips規模の変動をもたらす可能性があります。
本記事では、プロのFXトレーダーの視点から、今週発表される全経済指標の意味と市場への影響を徹底解説します。初心者の方にも分かりやすく、実践的なトレード戦略まで網羅した完全ガイドです。
この記事でわかること
- 全指標の影響度と予想値を一覧表示 – どの指標をいつ見るべきかが一目瞭然
- 通貨ペア別の具体的な値動き予測 – ドル円、ユーロドル、ポンド円の予想変動幅を明示
- リスク管理を含む実践的トレード戦略 – プロが実際に使う手法を公開
今週のFX市場:3つの最重要テーマ
テーマ1:米国インフレ指標が全てを決める
今週の為替市場は、米国のインフレ動向に完全に支配される1週間となります。1月13日(火)22:30発表の消費者物価指数(CPI)と、翌14日(水)同時刻の卸売物価指数(PPI)が、FRB(連邦準備制度理事会)の今後の利下げペースを決定します。
なぜこれほど重要なのか?
現在の市場は、FRBが2026年中に2〜3回の利下げを実施すると織り込んでいます。しかし、インフレが予想以上に高止まりしていることが判明すれば、この利下げシナリオは全て崩れ去ります。その瞬間、ドルは急騰し、円やユーロは急落します。逆に、インフレが順調に鎮静化していれば、ドル安が進行し、リスクオンの円安相場が加速します。
テーマ2:日本市場の休場リスク
1月12日(月)は日本の「成人の日」で、東京市場が休場となります。これは単なる休日ではなく、FX市場にとって極めて危険な流動性真空地帯を生み出します。
過去の教訓:2019年1月3日のフラッシュクラッシュ
2019年の正月明け、東京市場が休場中のアジア時間早朝、ドル円は数分間で4円以上も急落する「フラッシュクラッシュ」を起こしました。流動性が極端に低下している時間帯に、アルゴリズム取引による大量の売り注文が重なったことが原因でした。
現在のドル円は158円台という高値圏にあり、調整圧力が溜まっています。月曜日の早朝時間帯(日本時間3:00〜8:00)は、同様の急変動リスクが高まっています。
テーマ3:日銀の利上げ期待と円の反転
1月15日(木)8:50発表の日本企業物価指数(PPI)は、日銀の追加利上げ判断に直結する最重要指標です。
日銀の植田総裁は、「賃金上昇を伴う持続的なインフレ」の確認を利上げ条件としています。企業物価指数が予想(前年比2.4%)を上回る結果となれば、企業がコスト増を価格に転嫁できている証拠となり、利上げへの道が開けます。
市場への影響:
- PPIが2.5%以上 → 日銀3月利上げ期待高まる → ドル円は156円台へ急落可能性
- PPIが2.3%以下 → 日銀慎重姿勢継続 → ドル円の高値圏推移継続
週間指標カレンダー:完全版(重要度別)
★★★★★【超重要】市場を大きく動かす指標
| 発表日時 | 国 | 指標名 | 予想 | 前回 | 予想変動幅 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1/13(火)22:30 | 米国 | 12月消費者物価指数(CPI)前年比 | 2.7% | 2.7% | ドル円±80pips |
| 1/13(火)22:30 | 米国 | 12月CPIコア指数(前月比) | 0.3% | 0.3% | 全通貨±50pips |
| 1/14(水)22:30 | 米国 | 11月小売売上高(前月比) | 0.4% | 0.0% | ドル円±60pips |
| 1/14(水)22:30 | 米国 | 11月卸売物価指数(PPI)前月比 | 0.3% | – | ドル円±40pips |
| 1/15(木)8:50 | 日本 | 12月企業物価指数(前年比) | 2.4% | 2.7% | ドル円±70pips |
| 1/15(木)16:00 | 英国 | 11月月次GDP(前月比) | 0.1% | -0.1% | ポンド円±50pips |
★★★【重要】トレンドに影響を与える指標
| 発表日時 | 国 | 指標名 | 予想 | 前回 | 市場影響 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1/13(火)8:50 | 日本 | 11月国際収支・経常収支 | 3.6兆円 | 2.8兆円 | 円の実需バランス |
| 1/14(水)未定 | 中国 | 12月貿易収支 | 1140億ドル | 1116億ドル | 豪ドル・NZドル |
| 1/15(木)16:00 | 英国 | 11月鉱工業生産 | 0.0% | 1.1% | ポンドの方向性 |
| 1/15(木)22:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 | – | 20.8万件 | 雇用市場の健全性 |
★★【参考】市場心理に影響する指標
- 1/12(月)17:00:スイスSECO消費者信頼感指数
- 1/13(火)8:30:豪ウエストパック消費者信頼感指数
- 1/16(金)23:15:米鉱工業生産指数
最重要イベント詳細分析
【1】米消費者物価指数(CPI):今週最大の焦点

発表日時:1月13日(火)22:30(日本時間)
CPIとは何か?なぜ重要なのか?
消費者物価指数(CPI)は、一般家庭が購入する商品とサービスの価格変動を測る指標です。FRBはインフレ率2%を目標としており、CPIが目標から大きく乖離すると、金融政策の変更を余儀なくされます。
今回の予想と市場の見方:
- 総合CPI(前年比):2.7%(前回2.7%から横ばい)
- コアCPI(前月比):0.3%(重要!)
市場で最も注目されるのは「コアCPI前月比」です。これは食品とエネルギー価格を除いた、より正確なインフレトレンドを示します。
シナリオ別の市場反応
【シナリオA】CPI上振れ(インフレ再燃)- 確率30%
条件:総合CPI 3.0%以上、またはコア前月比 0.4%以上
市場の反応:
✓ FRBの利下げ期待が完全に消滅
✓ 米10年債利回りが4.5%へ急騰
✓ ドル円:158円 → 159-160円(+100~200pips)
✓ ユーロドル:1.1650 → 1.1550(-100pips)
✓ ポンド円:212円 → 214円(+200pips)
✓ 米国株は下落(S&P500 -1~2%)
トレード戦略:
→ ドル買い(USD/JPY、EUR/USDショート)
→ ゴールドのショート(1時間以内)
【シナリオB】CPI予想通り(ソフトランディング継続)- 確率50%
条件:総合CPI 2.7%前後、コア前月比 0.3%
市場の反応:
✓ 現状維持、大きな変動なし
✓ ドル円:156-158円のレンジ継続
✓ ユーロドル:1.1600-1.1700のレンジ
✓ 米国株は小幅高(リスクオン継続)
トレード戦略:
→ レンジ取引(高値売り・安値買い)
→ クロス円(AUD/JPY、GBP/JPY)のロング
【シナリオC】CPI下振れ(ディスインフレ加速)- 確率20%
条件:総合CPI 2.5%以下、またはコア前月比 0.2%以下
市場の反応:
✓ FRBの早期利下げ期待が高まる
✓ 米10年債利回り低下
✓ ドル円:158円 → 156-155円(-200~300pips)
✓ ユーロドル:1.1650 → 1.1750(+100pips)
✓ ゴールドが急騰($50以上)
トレード戦略:
→ ドル売り(USD/JPYショート)
→ ゴールド・銀のロング
→ 新興国通貨のロング
CPIの内訳で見るべきポイント
住居費(Shelter):CPIの約40%を占める最大項目
- 前月比0.3%以上なら「粘着的インフレ」継続
- 0.2%以下なら「ようやく鎮静化」のシグナル
スーパーコア:住居費を除くコアサービス
- パウエル議長が最も重視する指標
- 賃金上昇圧力を直接反映
- 0.4%以上なら利下げ困難
中古車価格:短期的な価格変動を示す
- 前月比プラスならインフレ圧力増大
- マイナスなら一時的なディスインフレ要因
【2】米卸売物価指数(PPI):CPIの先行指標

発表日時:1月14日(水)22:30(日本時間)
PPIとは?CPIとの違い
卸売物価指数(PPI)は、企業間取引における商品・サービスの価格変動を測定します。PPIはCPIの「先行指標」として機能します。企業が仕入れコストの上昇を最終消費者価格に転嫁するまで、通常2〜3ヶ月のタイムラグがあります。
今回の予想:
- PPI(前月比):0.3%
- PPIコア(前月比):0.2%
- PPI(前年比):2.6%
市場への影響パターン
【パターン1】CPI上振れ + PPI上振れ
→ 「インフレ定着」確定 → ドル全面高(+追加40pips)
【パターン2】CPI下振れ + PPI下振れ
→ 「ディスインフレ加速」確定 → ドル全面安(-追加30pips)
【パターン3】CPI上振れ + PPI下振れ
→ 「一時的な高インフレ」→ 市場混乱、ボラティリティ急上昇
【パターン4】CPI下振れ + PPI上振れ
→ 「今後のインフレ懸念」→ 中期的ドル買い圧力
トレーダーが注目すべき数値
PPIコア前月比が0.3%以上
- 企業のコスト圧力が強い証拠
- 2〜3ヶ月後のCPI上昇を示唆
- ドル買い材料として機能
最終財価格と中間財価格の乖離
- 中間財が上昇している場合、将来的な最終財への価格転嫁を予告
- サプライチェーン圧力の指標
サービスPPI
- 賃金上昇を反映しやすい
- 0.4%以上なら「サービスインフレ」継続
【3】米小売売上高:消費者の財布の紐
発表日時:1月14日(水)22:30(日本時間)
米国GDPの7割を占める個人消費の実態
小売売上高は、米国経済の約70%を占める個人消費の強さを直接測る指標です。CPIと組み合わせることで、「価格上昇」と「消費意欲」のバランスが見えてきます。
今回の予想:
- 小売売上高(前月比):0.4%
- 小売売上高(除自動車):0.4%
「K字型消費」の実態
現在の米国経済は、深刻な「K字型」の分断を示しています:
K字の上側(富裕層):
- 株価上昇による資産効果を享受
- 高額品(ジュエリー、高級車)の消費旺盛
- サービス消費(旅行、外食)も活発
K字の下側(中間・低所得層):
- クレジットカード債務が過去最高水準
- 生活必需品以外の支出を削減
- ディスカウント店への移行
市場への影響シナリオ
【シナリオ1】小売売上高 +0.5%以上(強い消費)
+ CPI高い → 「インフレ懸念」でドル買い(+60pips)
+ CPI低い → 「理想的成長」でリスクオン(株高・円安)
【シナリオ2】小売売上高 0.0%前後(横ばい)
+ CPI高い → 「スタグフレーション懸念」で混乱
+ CPI低い → 「成長鈍化」で緩やかなドル安
【シナリオ3】小売売上高 マイナス(消費減速)
+ CPI高い → 「最悪のスタグフレーション」→ 株暴落・リスクオフのドル高
+ CPI低い → 「リセッション懸念」→ ドル安・安全資産買い
【4】日本企業物価指数(PPI):円相場の転換点

発表日時:1月15日(木)8:50(日本時間)
日銀の利上げ判断を左右する最重要指標
日本の企業物価指数は、企業間取引における商品価格の変動を示します。日銀にとって、これは「企業が値上げできる環境にあるか」を判断する最重要データです。
今回の予想:
- 企業物価指数(前年比):2.4%(前回2.7%から低下)
- 企業物価指数(前月比):0.2%
なぜ日銀はPPIを重視するのか?
日銀の植田総裁は、「賃金上昇→物価上昇」という好循環の確立を利上げ条件としています。企業物価の上昇は、以下を示唆します:
企業に価格決定力がある
- コスト増を販売価格に転嫁できる
- 需要が堅調である証拠
将来のCPI上昇を予告
- 企業物価の上昇は消費者物価に波及
- 2〜3ヶ月後のCPI上昇につながる
賃上げ継続の環境
- 企業収益が改善
- 春闘での賃上げ余地拡大
市場への影響とドル円の動き
【シナリオA】PPI 2.5%以上(予想上振れ)
→ 日銀の3月利上げ期待が急上昇
→ ドル円:158円 → 155-156円(-200〜300pips)
→ 円全面高(クロス円全面安)
→ 日本株は下落(輸出企業に逆風)
【シナリオB】PPI 2.4%前後(予想通り)
→ 日銀は慎重姿勢維持
→ ドル円:現状水準維持(156-158円レンジ)
→ 方向感なし
【シナリオC】PPI 2.3%以下(予想下振れ)
→ 日銀の利上げ期待後退
→ ドル円:158円 → 159-160円(+100〜200pips)
→ キャリートレード再開(円売り加速)
過去データから見る円の反応
2025年11月のPPIが予想を上回った際、ドル円は発表後30分で150pips下落しました。市場参加者は日本のPPI発表に極めて敏感になっており、今回も同様の急変動が予想されます。
【5】英国月次GDP:ポンドの分水嶺

発表日時:1月15日(木)16:00(日本時間)
英国経済はリセッション入りを回避できるか?
英国の月次GDPは、四半期GDPよりも迅速に経済の実態を把握できる重要指標です。前回(10月)が-0.1%のマイナス成長だったため、今回の結果次第では英国経済の方向性が大きく変わります。
今回の予想:
- 月次GDP(前月比):0.1%
ポンドへの影響シナリオ
【シナリオ1】GDP +0.2%以上(プラス成長回復)
→ リセッション懸念後退
→ ポンド円:212円 → 214-215円(+200〜300pips)
→ ポンドドル:1.3500 → 1.3600(+100pips)
→ BOE(イングランド銀行)の利下げ期待後退
【シナリオ2】GDP +0.1%前後(予想通り)
→ 「ギリギリのプラス成長」
→ ポンド:小幅変動(±30pips程度)
→ 方向感なし、レンジ継続
【シナリオ3】GDP 0.0%またはマイナス(成長停滞)
→ リセッション入りの懸念強まる
→ ポンド円:212円 → 210-209円(-200〜300pips)
→ ポンドドル:1.3500 → 1.3350(-150pips)
→ BOEの追加利下げ期待高まる
通貨ペア別:今週の値動き予測と戦略
ドル円(USD/JPY):158円の攻防戦
現在値:158.121円
今週の予想レンジ:155.500円 〜 160.000円
上昇シナリオ(確率40%)
条件:
- 米CPI 2.8%以上
- 日本PPI 2.3%以下
- 小売売上高 0.5%以上
目標価格:
- 第1目標:159.000円(+88pips)
- 第2目標:160.000円(+188pips)
戦略:
エントリー:157.700円の押し目
利確①:159.000円(50%決済)
利確②:160.000円(残り50%決済)
損切り:157.200円(-50pips)
下落シナリオ(確率60%)⭐推奨
条件:
- 米CPI 2.6%以下
- 日本PPI 2.5%以上
- 小売売上高 0.3%以下
目標価格:
- 第1目標:156.500円(-162pips)
- 第2目標:155.500円(-262pips)
戦略:
エントリー:158.000円以上でショート
利確①:157.000円(50%決済)
利確②:156.000円(残り50%決済)
損切り:158.500円(-50pips)
推奨ロット:通常の70%
ユーロドル(EUR/USD):パリティへの道
現在値:1.16555
今週の予想レンジ:1.1550 〜 1.1750
下落シナリオ(確率65%)⭐推奨
条件:
- 米CPI強い(ドル買い)
- ユーロ圏鉱工業生産弱い
目標価格:
- 第1目標:1.1550(-100pips)
- 第2目標:1.1450(-200pips)
戦略:
エントリー:1.1680以上で戻り売り
利確①:1.1580(50%決済)
利確②:1.1500(残り50%決済)
損切り:1.1750(-70pips)
ポンド円(GBP/JPY):213円の壁
現在値:212.262円
今週の予想レンジ:209.500円 〜 215.000円
上昇シナリオ(確率55%)
条件:
- 英国GDP 0.1%以上
- リスクオン継続
目標価格:
- 第1目標:213.500円(+124pips)
- 第2目標:215.000円(+274pips)
戦略:
エントリー:211.500円の押し目買い
利確①:213.500円(50%決済)
利確②:215.000円(残り50%決済)
損切り:210.800円(-70pips)
豪ドル円(AUD/JPY):中国次第
現在値:105.888円
今週の予想レンジ:104.500円 〜 107.000円
戦略の判断基準
上昇条件:
- 中国貿易収支の輸入が増加
- リスクオン継続
- 目標:106.500円、107.000円
下落条件:
- 中国経済減速懸念
- リスクオフ
- 目標:105.000円、104.500円
リスク管理:今週の5つの鉄則
1. 月曜日の流動性リスクを避ける
危険時間帯:1月12日(月)3:00〜8:00(日本時間)
理由:東京市場休場で流動性枯渇
対策:この時間帯は新規ポジション禁止
2. 指標発表時の両建て戦略
CPI発表15分前:
✓ 両方向に指値注文設置
✓ 上:158.300円にストップ買い
✓ 下:157.700円にストップ売り
✓ どちらか約定したら、もう一方は即座にキャンセル
3. ポジションサイズの適正化
通常時:口座資金の2%リスク
重要指標時:1%に縮小
連休前・流動性低下時:0.5%以下
4. 損切りラインの厳守
絶対ルール:
エントリー前に損切りライン設定
設定した損切りは絶対に動かさない
含み損が拡大してもナンピンしない
5. 利益確定の段階的実行
目標①到達:50%利益確定
目標②到達:30%追加利確
残り20%:トレーリングストップで追跡
まとめ:今週の勝ち方
最重要ポイント3つ
火曜日22:30の米CPIが全てを決める
- この1つの指標で今週の方向性確定
- 発表前のポジションは最小限に
- 流動性リスクを避ける
- 火曜日から本格参戦
木曜日朝の日本PPIで円相場反転の可能性
- 2.5%以上なら円高加速
- ドル円ショートの準備を


