戦略:AUDUSDは押し目買い/NZDUSDは戻り売り/AUDJPYは押し目買い/NZDJPYは触らない
2026年1月5日、年明け最初の本格的な取引週が始まりました。オーストラリアドル(豪ドル/AUD)とニュージーランドドル(NZドル/NZD)という、同じオセアニア地域の通貨が、今日まったく異なる動きを見せています。
豪ドルは明確な上昇トレンドを維持している一方、NZドルは依然として弱気の圧力に苦しんでいます。この「双子のような関係」にあった二つの通貨が、なぜこれほど違う道を歩んでいるのか。そして、今日私たちはどう取引すべきなのか。
本稿では、4つの重要な通貨ペア(豪ドル/米ドル、豪ドル/円、NZドル/米ドル、NZドル/円)について、できるだけシンプルに、しかし本質を逃さずに解説していきます。
今日の市場環境:3つの重要ポイント
1. 米国経済の「軟着陸」期待が高まっている
米国の景気は緩やかに減速していますが、「リセッション(景気後退)」に陥る懸念は後退しつつあります。これは一般的にドル安要因となり、豪ドルやNZドルなどのリスク通貨にとって追い風です。
本日深夜0時、最重要指標が発表されます
米国のISM製造業景況指数(12月分)が発表されます。市場予想は48.3で、前回の48.2から若干の改善が見込まれています。この数字が予想を下回れば、ドル売りが加速し、豪ドルは一段高となる可能性があります。
2. 中国経済は「まあまあ」の状態
豪州にとって最大の貿易相手国である中国の景況感を示す指標が、本日発表されました。
- 財新サービス業PMI: 52.0(前回52.1)
- 製造業PMI: 50.1(前回49.9)
いずれも「50」を上回っており、経済が拡大していることを示していますが、力強い回復とは言えません。これは豪ドルにとって「大きなマイナスではないが、大きなプラスでもない」状況です。
3. 金利差が依然として重要
- 豪州の政策金利: 4.35%(高い)
- NZの政策金利: 2.25%(低い)
- 米国の政策金利: 3.50〜3.75%(中程度)
この金利差が、豪ドルとNZドルの明暗を分ける大きな要因となっています。投資家は高い金利を求めて豪ドルを買い、低金利のNZドルを避ける傾向が強まっています。
豪ドル/米ドル(AUD/USD):上昇トレンド継続中
現在の状況:0.6694付近
豪ドル/米ドルは、2026年最初の取引で力強いスタートを切っています。全ての移動平均線を上回って推移しており、これはテクニカル分析において最も信頼できる強気のサインです。
なぜ豪ドルは強いのか
1. 長期トレンドの転換
最も重要なのは、200日移動平均線(長期トレンドの分水嶺)である0.6687を明確に上抜けていることです。これは「長期的な下落トレンドが終わり、上昇トレンドに転換した」可能性を強く示唆しています。
2. 適度な上昇スピード
RSI(買われすぎ・売られすぎを示す指標)は56.4と、強気ゾーンにありながらも、過熱感(70以上)には達していません。つまり、「まだ上がる余地がある」ということです。
3. 押し目での買い支え
0.6680〜0.6690のゾーンは、以前は「天井(レジスタンス)」として機能していましたが、今は「床(サポート)」に転換しています。ここまで下がってくると買いが入る、という安心感が市場にあります。
今日の重要価格レベル
上値の抵抗線(ここまで上がると売りが出やすい)
- 0.6702: 直近の高値。ここを突破できるかが今日の焦点
- 0.6708: 日中の最大目標
- 0.6729: 週足レベルの重要ライン
下値の支持線(ここまで下がると買いが入る)
- 0.6690: 第一の押し目買いポイント
- 0.6687: 200日移動平均線。ここを守れるかが重要
- 0.6680: 心理的な節目
今日の取引戦略:押し目買いが基本
おすすめのエントリーポイント
- 0.6690〜0.6693まで下がってきたら買い
- 利益確定の目標:0.6708(第一目標)、0.6729(第二目標)
- 損切りライン:0.6675(ここを割ったら撤退)
今日の予想される動き
- 午前中(東京時間):0.6690付近で様子見
- 午後(欧州・NY時間):流動性が高まり、0.6702を試す展開
- 深夜(ISM発表後):指標が予想より弱ければ、0.6720〜0.6730へ急伸の可能性
リスクシナリオ
もし米国の経済指標が予想より強く、0.6680を明確に割り込んだ場合は、一度ポジションをクローズし、0.6650付近まで待つ方が賢明です。
豪ドル/円(AUD/JPY):高値圏での綱引き
現在の状況:104.90付近
豪ドル/円は、過去1ヶ月で3.5%以上も上昇してきました。現在は104.90付近で推移していますが、心理的な節目である105円の壁を前に、やや勢いが鈍っています。
なぜ上昇してきたのか
1. 日本の低金利
日本銀行は2025年12月に政策金利を0.75%に引き上げましたが、豪州の4.35%と比べるとまだ大きな差があります。この3.6%の金利差が、投資家に「豪ドルを買って、円を借りる(売る)」という取引(キャリートレード)を促しています。
2. リスク選好の継続
世界の株式市場が比較的安定しており、投資家がリスクを取りやすい環境が続いています。こうした「リスクオン」の局面では、安全通貨の円が売られ、豪ドルのような高金利通貨が買われます。
105円の壁が厚い理由
しかし、ここからさらに上昇するには、いくつかの懸念材料があります。
1. 日本の当局による介入警戒
ドル/円が157円台という高水準にあり、日本政府が為替介入(円安を止めるための市場介入)を行うのではないかという警戒感があります。これは、豪ドル/円にも心理的な重石となっています。
2. 短期的な過熱感
価格が急ピッチで上昇してきたため、一部の投資家が利益確定(買ったものを売って利益を確定する)を行う動きが出始めています。
今日の取引戦略:レンジ内での押し目買い
基本シナリオ
104.70〜105.20のレンジ内での往来相場を想定しています。ISM指標の発表待ちという側面が強く、一方的な動きにはなりにくいでしょう。
おすすめのエントリーポイント
- 104.70付近まで下がったら買い
- 利益確定の目標:105.15
- 損切りライン:104.45
リスクシナリオ
104.50を下抜けた場合、短期的な利益確定売りが連鎖し、104.00または103.50まで調整する可能性があります。その場合は慌てず、より良い水準での買い直しを待ちましょう。
NZドル/米ドル(NZD/USD):依然として厳しい状況
現在の状況:0.5761付近
豪ドルとは対照的に、NZドル/米ドルは明確な弱気トレンドの中にあります。テクニカル分析の主要指標がほぼすべて「売り」を示しており、上値の重い展開が続いています。
なぜNZドルは弱いのか
1. 金利の大幅引き下げ
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、2025年にかけて積極的な利下げを実施し、政策金利を2.25%まで引き下げました。これは豪州の4.35%と比べて大幅に低く、投資家の魅力を著しく減じています。
2. 全ての移動平均線が抵抗線
現在の価格は、主要な移動平均線(5日、10日、20日、50日、100日、200日)のすべてを下回って推移しています。これは極めて強い弱気トレンドの証拠です。
特に重要な200日移動平均線は0.5802にあり、現在の価格(0.5761)はその下です。長期トレンドが依然として「下落」であることを示しています。
3. テクニカル指標の総崩れ
- RSI: 40.7(売りゾーン)
- MACD: マイナス圏(売り)
- 移動平均線: 全て売りシグナル
唯一の希望:底打ちの兆候?
ただし、いくつかの明るい材料もあります。
1. 利下げサイクルの終了観測
市場の一部では、RBNZの利下げが2.25%で「底を打った」との見方が広がっています。実際、第3四半期のGDP(国内総生産)が1.1%のプラス成長を示すなど、景気に底入れの兆候が見られます。
2. 2026年後半の利上げ観測
金利先物市場では、2026年後半にRBNZが利上げに転じる可能性を約45%織り込み始めています。もしこれが現実になれば、NZドルの強力な買い材料となります。
今日の重要価格レベル
上値の抵抗線(非常に厚い壁)
- 0.5780〜0.5790: 複数の移動平均線が集中
- 0.5802: 200日移動平均線(最大の壁)
下値の支持線(ここが割れると急落)
- 0.5750: 極めて重要な防衛ライン
- 0.5735: ブレイクダウンの加速ポイント
- 0.5710: 深い下落の目標値
今日の取引戦略:戻り売りが基本
基本方針
上昇しても0.5770〜0.5780で頭を抑えられると予想されます。そこまで戻ったら売るのが合理的です。
売りのエントリーポイント
- 0.5772〜0.5778まで上昇したら売り
- 利益確定の目標:0.5755(第一)、0.5715(第二)
- 損切りライン:0.5815(ここを超えたらシナリオ崩壊)
今日の予想される動き
- 午前中:0.5750〜0.5780の狭いレンジで様子見
- 午後〜夜:0.5750の防衛ラインを試す展開
- ISM発表後:指標が予想より強ければ、0.5750を割り込み、0.5735方向へ
重要な注意点
0.5750を明確に割り込んだら、急落のリスク大
このレベルには、異なる分析手法(クラシック・ピボット、フィボナッチなど)が一致してサポートを示しています。つまり、多くのトレーダーがここに損切り注文を置いているということです。
もし0.5750を1時間足の終値で明確に下回った場合、これらの損切りが一斉に発動し、価格を一気に押し下げる可能性があります。
NZドル/円(NZD/JPY):方向感を失っている
現在の状況:90.49付近
NZドル/円は、豪ドル/円の上昇力とNZドル/米ドルの弱さに挟まれ、方向感を失っています。90円台前半でのもみ合いが続いており、明確なトレンドが出ていません。
なぜ動きにくいのか
1. 200日移動平均線が真上にある
90.79に位置する200日移動平均線が、強力な「天井」として機能しています。ここを明確に上抜けない限り、本格的な上昇トレンドは期待できません。
2. 相反する力
- 円安(日本の低金利)→上昇要因
- NZドル安(NZの利下げ)→下落要因
この二つの力が拮抗しており、結果として横ばいの展開が続いています。
今日の取引戦略:慎重な逆張り
おすすめの戦略
90.70〜90.80(200日移動平均線付近)まで上昇したら売り、という「戻り売り」が最も安全です。
売りのエントリーポイント
- 90.70〜90.80まで上昇したら売り
- 利益確定の目標:90.30
- 損切りライン:91.00(200日線を明確に上抜けたら撤退)
あるいは押し目買いのスキャルピング
90.20〜90.30のサポートまで下がったら、短期的な反発狙いで買うという戦略もありますが、これは上級者向けです。利益確定は90.60程度と浅めに設定し、素早く利益を確定することが重要です。
通貨間の力関係:豪ドル > NZドル
今日の分析から最も重要な洞察は、「豪ドルがNZドルより圧倒的に強い」という事実です。
数字で見る明暗
| 通貨ペア | RSI | MACD | 200日線との位置 | 総合判断 |
|---|---|---|---|---|
| 豪ドル/米ドル | 56.4(強気) | 買い | 上(強気) | 強い買い |
| NZドル/米ドル | 40.7(弱気) | 売り | 下(弱気) | 強い売り |
なぜこの差が生まれたのか
1. 金融政策の違い
- 豪州:金利4.35%を維持(タカ派=引き締め姿勢)
- NZ:金利2.25%に引き下げ(ハト派=緩和姿勢)
2. 経済の底堅さ
- 豪州:中国との貿易関係、資源価格の安定
- NZ:利下げが必要なほど景気に弱さがあった
この状況を利用した戦略
上級者向け:豪ドル/NZドルのロング
両方の通貨を取引できる環境にある方は、「豪ドルを買い、NZドルを売る」というペアトレードが非常に有効です。これは、米ドルや円の動きに左右されにくく、純粋に豪ドルとNZドルの力関係だけで利益を狙える戦略です。
今日の具体的アクションプラン:優先順位付き
第1優先:豪ドル/米ドルの押し目買い
最も確実性が高い戦略
- エントリー:0.6690〜0.6693
- 目標:0.6708(第一)、0.6729(第二)
- 損切り:0.6675
- 理由:全ての指標が上昇トレンドを示している
第2優先:NZドル/米ドルの戻り売り
リスクとリターンのバランスが良い
- エントリー:0.5772〜0.5778
- 目標:0.5755(第一)、0.5715(第二)
- 損切り:0.5815
- 理由:明確な弱気トレンド継続中
第3優先:豪ドル/円の押し目買い(慎重に)
レンジ内での短期取引
- エントリー:104.70
- 目標:105.15
- 損切り:104.45
- 注意:円高リスクがあるため、ポジションサイズは小さめに
避けるべき:NZドル/円
方向感がなく、中途半端な位置にあるため、初心者は手を出さない方が無難です。上級者も、明確に90.80を上抜けるか、90.20を下抜けるまで様子見が賢明です。
ISM指標発表への備え
発表時刻:本日深夜0時(日本時間)
必ず守るべきルール
- 指標発表の5分前(23:55)にはポジションを整理
- 利益が出ているなら一部を確定
- 損切りラインを建値(エントリー価格)に移動
- リスクをゼロにしてから結果を待つ
- 結果を見てから冷静に判断
- 予想(48.3)より良い→ドル買い・オセアニア通貨売り
- 予想より悪い→ドル売り・オセアニア通貨買い
- 予想通り→レンジ継続の可能性
- ギャンブルは禁物
- 指標発表時の急変動で一発を狙うのは避ける
- 結果が出た後の、方向性が定まってからのエントリーで十分
リスク管理:今日特に注意すべきこと
1. 年初の流動性変動
年明け最初の週は、大口投資家がポジションを調整するため、通常よりも大きな値動きが発生することがあります。普段よりポジションサイズを20〜30%小さくすることをおすすめします。
2. 円の急騰リスク
ドル/円が157円台という高水準にあり、日本の当局が介入する可能性が常に存在します。もし介入が起きれば、豪ドル/円やNZドル/円は瞬間的に大きく下落します。
対策:クロス円(豪ドル/円、NZドル/円)は、対米ドルのポジションよりも損切りを浅めに設定する。
3. 0.5750の重要性
NZドル/米ドルで0.5750を割り込むと、急落の連鎖が始まる可能性が高いです。このレベル近辺では、必ず損切り注文を置いておきましょう。
まとめ:今日の相場で勝つために
2026年1月5日のオセアニア通貨市場は、「豪ドル強気、NZドル弱気」という明確な構図の中にあります。
今日の3つの鉄則
豪ドルドルは押し目を待って買う
- 0.6690付近が絶好のチャンス
- 焦って高値で買わない
NZドルドルは戻りを待って売る
- 0.5775付近まで上がったら売り場
- 0.5750割れに注意
SM発表前にリスクをゼロにする
- 指標ギャンブルは避ける
- 結果を見てから判断しても遅くない
最後に:データと規律を信じる
相場は感情では勝てません。今日解説した移動平均線、RSI、サポート・レジスタンスといった客観的な指標に基づいて計画を立て、その計画を規律を持って実行することが、長期的な成功への唯一の道です。
豪ドルが0.6680を割っても、NZドルが0.5750を守っても、それは相場の自然な動きです。大切なのは、事前に決めた損切りラインを守り、次のチャンスに備えることです。




