2024年に始まった新NISA制度。あなたも「eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)」か「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を積み立てているのではないでしょうか?
私が運営するこのメディアにも、「オルカンを毎月10万円積み立てていますが、このままで大丈夫ですか?」「円安が終わったら損しますよね?」という質問が毎日のように寄せられています。
結論から言います。株式100%のポートフォリオは、2026年に大きなリスクを抱えています。
なぜなら、あなたが享受してきた過去3年のリターンの約8割は「円安ボーナス」によるものだからです。為替が反転すれば、そのボーナスは一瞬で消え去ります。
この記事では、月間100万PVを持つ金融メディアの編集長として、また現役トレーダーとして、2026年に本当に持つべき資産配分を具体的な数字とともに解説します。最後まで読めば、「株だけ持っていればいい」という考えが、いかに危険かが理解できるはずです。
2026年の投資環境:円安・インフレ下の正解ルート
FRBの利下げシナリオと米国株
2025年から2026年にかけて、市場のコンセンサスは明確です。FRBは2025年中にあと1〜2回の利下げを実施し、2026年も断続的な利下げを続けるという見通しです。FF金利は2026年末に向けて3.5%前後まで低下すると予想されています。
AXA IMなどの大手機関投資家は、2025年のS&P500の1株当たり利益成長率を約13%と予想し、「FRBは緩やかな利下げを行いソフトランディングに向かっている」としています。AI関連投資と利下げ期待が、リセッション懸念を上回っているというのが現在の市場の見方です。
つまり、ベースシナリオは「米ソフトランディング+緩やかな利下げ+株高継続」ということになります。
日本のインフレと実質賃金の見通し
一方、日本国内に目を向けると、2025年度は賃上げが続くものの、食料品などの物価上昇が残るため、実質賃金は年内マイナスが続くとされています。
しかし、2026年に入ると物価上昇率が2%を下回ることで、実質賃金がようやくプラスに転じ、個人消費を下支えするとの見通しが複数の調査で示されています。日本の実質成長率は2026年に0.8%前後と、潜在成長率をやや上回る程度です。
つまり、2025年は「名目賃金は上がってもインフレで実感なし」、2026年にかけてようやく家計が楽になるという流れです。
最大のリスク要因:円高シナリオ
ここで注意すべきは、利下げが遅れた場合の景気減速リスクと、急激な円高リスクです。
現在1ドル160円前後で推移している為替相場ですが、仮に1ドル130円まで円高が進行した場合、為替レートだけで約18.75%の評価損が発生します。これは、S&P500がドルベースで横ばいでも、円建て評価額が約19%下がることを意味します。
実際の相場では、円高局面で米株自体も調整しやすいため、トータルの下落率はそれ以上になる可能性が高いのです。私の経験では、「円高+世界景気減速」の組み合わせでは、円建て評価額が30〜40%規模で下がるシナリオも十分あり得ます。
王道「eMAXIS Slim 全世界株式」vs「S&P500」最終決着
人気ランキングの現状
新NISA開始後も、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は、主要ネット証券の新NISA口座で継続的にトップクラスの買付金額・保有残高を維持しています。
両ファンドの純資産総額はいずれも5兆円超の規模に達しており、インデックスファンドとして国内最大級の集金力を持っています。新NISA2年目に入っても、“オルカン&S&P500二大インデックス”体制は揺らいでいません。
直近のパフォーマンス比較
| 資産クラス | 1年リターン | 3年リターン | 5年リターン |
|---|---|---|---|
| S&P500(円建て) | 約25〜30% | 約40〜50% | 年率8〜10% |
| オルカン(円建て) | 約20〜25% | 約30〜40% | 年率6〜7% |
| 金(円建て) | 約20〜25% | – | – |
数字を見れば、S&P500の方がオルカンを上回るパフォーマンスを示しています。ただし、ここに大きな罠があります。
リターンの8割は「円安ボーナス」
オルカンの直近3年リターンについて、ある分析では「ドル建てリターン+11.82%に対し、円建てリターンは+38.15%程度で、その差の約8割が円安によるもの」と指摘されています。
つまり、2022年以降のドル円の急激な円安進行(115円→150円台)が、外貨建て資産の円建てリターンを押し上げた主要因なのです。あなたが享受してきた利益の大部分は、実は「投資の実力」ではなく「為替の運」だったということです。
初心者が陥りやすい罠
多くの投資初心者は、過去のリターンランキングだけを見て銘柄を選びます。「3年で+38%だから、今後も同じように増えるだろう」と。
しかし、チャートをよく見てください。2022年以降の急騰は、円安という一過性の要因に大きく依存しています。為替トレンドが転換すれば、同じリターンは期待できません。むしろ、1ドル130円への円高だけで−19%の損失が確定し、そこに米株の調整が重なれば、円建てで−35%前後まで落ちる可能性があります。
私の経験では、2008年のリーマン・ショック時、2020年のコロナショック時、いずれも円高と株安が同時進行しました。為替リスクを無視したポートフォリオは、こうした局面で壊滅的なダメージを受けるのです。
ランキング急上昇!NISAで「ゴールド(金)」を持つ人が増えている理由
金関連ファンドの人気上昇
2025年5月の月次レポートでは、金価格連動ファンド「SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)」が、1年リターンでオルカン・S&P500を上回る好成績を記録し、新NISA対応ファンドの中で注目度が高まっていると報告されています。
金関連のETF・投資信託は、2024〜2025年の利下げ観測・地政学リスク・ドル安観測を背景に、機関投資家レポートでも「分散投資の中核的ヘッジ資産」として再評価されており、オルタナティブ枠の中心として資金流入が続くとの見通しが示されています。
2024年以降の金価格急騰と新NISA開始のタイミングが重なり、「オルカン+ゴールド」型の分散戦略に個人マネーが向かっているのです。
なぜ今、プロは株ではなく金を混ぜるのか?
理由は明確です。金と株式の相関係数が低く、リスク分散効果が極めて高いからです。
私がトレーダーとして20年以上市場を見てきた中で、金は常に「保険」として機能してきました。2022年以降のデータを見ても、金(円建て)のパフォーマンスは「国際価格以上の上げ」を記録し、その要因として「34年ぶりの円安水準とドル高のダブル効果」が指摘されています。
つまり、金は株式と異なる値動きをするだけでなく、円安・円高のどちらでも一定のリターンを生み出す可能性があるのです。
金の長期パフォーマンス
過去20年ベースで、金は年平均約6%、トータルリターン約240%という安定したパフォーマンスを示しています。2024年のNY金は2010年以来の上昇率を記録し、2022〜2025年も高いパフォーマンスが続いています。
機関投資家の見通しでも、金については中央銀行の継続的な買い入れ、地政学的緊張、財政不均衡、根強いインフレ懸念などが「構造的・循環的な追い風」とされ、戦略的ヘッジ資産としての重要性が高まっているとしています。
ここで強調したいのは、金は「儲けるため」ではなく「守るため」に持つ資産だということです。株式100%のポートフォリオは攻撃力は高いですが、防御力はゼロです。金を組み入れることで、ポートフォリオ全体の安定性が劇的に向上します。
【結論】プロが考える2026年の「攻め」と「守り」の黄金比率
具体的なポートフォリオ配分案
私が現役トレーダーとして、また月間100万PVの金融メディア編集長として提案する、2026年の最適ポートフォリオは以下の通りです。
【基本ポートフォリオ】
- 株式(オルカンorS&P500):60〜70%
- ゴールド(金関連ファンド):20〜30%
- 現金・日本高配当株:10〜20%
なぜこの配分なのか?理由を説明します。
株式60〜70%:攻めの中核
株式は依然として長期的なリターンの源泉です。ベースシナリオ(ソフトランディング+利下げ)が実現すれば、2026年も株高は続くでしょう。
オルカンとS&P500のどちらを選ぶかは好みの問題ですが、私の考えでは、分散効果を重視するならオルカン、米国経済への確信があるならS&P500という使い分けが合理的です。
ただし、株式の比率を100%にしないことが重要です。為替リスクと市場調整リスクを考慮し、60〜70%に抑えるべきです。
ゴールド20〜30%:守りの要
金は「第3の選択肢」として、ポートフォリオの安定性を劇的に向上させます。
株式と金の相関係数は低く、株が下がるときに金が上がる(またはその逆)ことで、ポートフォリオ全体の下落幅を抑えてくれます。特に、円高局面では金(円建て)のクッション効果が期待できます。
2025年の実績を見ても、金関連ファンドは1年リターンでオルカン・S&P500を上回っており、「金は儲からない」という先入観は完全に時代遅れです。
新NISAで金関連ファンドを選ぶなら、「SMT ゴールドインデックス・オープン(為替ヘッジなし)」や「ピクテ・ゴールド」などが候補になります。信託報酬も低く、長期保有に適しています。
現金・日本高配当株10〜20%:流動性とインカム
残りの10〜20%は、現金または日本の高配当株ファンドで保有します。
現金は機動的な買い増しや生活防衛資金として必須です。また、日本高配当株ファンドは、為替リスクが低く、インカムゲイン(配当収入)を生み出すため、「オルカン・S&P500+日本高配当株」という組み合わせは、新NISAの推奨パターンとして定着しつつあります。
2025年時点の人気ファンドランキングでも、日経平均高配当利回り株ファンドなどは、オルカン・S&P500に次ぐ”サテライト枠”として上位常連です。
リスクシナリオへの対応
仮に1ドル160円→130円の円高が進行した場合、このポートフォリオはどうなるでしょうか?
- 株式部分(60%):為替だけで−19%、株価調整も加わると−30%前後の下落が想定されるため、ポートフォリオ全体で約−18%の影響
- 金部分(20%):円高局面でも国際価格が安定していれば下落は限定的。または円高によるクッション効果が期待できる
- 現金・日本株(20%):為替影響なし、安定
結果として、ポートフォリオ全体の下落幅は−10〜15%程度に抑えられます。株式100%なら−30〜35%まで下がるところを、半分以下に軽減できるのです。
まとめ:2026年、あなたが今すぐすべきこと
新NISA制度が始まって2年目。多くの投資初心者が「オルカン・S&P500を積み立てていれば安心」と考えています。
しかし、過去3年のリターンの8割は円安ボーナスです。為替が反転すれば、そのボーナスは一瞬で消え去ります。
2026年の投資環境は、ベースシナリオでは「ソフトランディング+株高継続」ですが、利下げの遅れや円高急伸というリスクシナリオも十分あり得ます。株式100%のポートフォリオは、こうした局面で壊滅的なダメージを受ける可能性があります。
プロの投資家は、既に動き始めています。
機関投資家の見通しでも、金・コモディティなどが「60/40ポートフォリオの構造的な分散手段」として位置づけられ、2026年にかけても配分比率が高まるとされています。個人投資家の資金も、オルカン単独から「オルカン+ゴールド」型の分散戦略へとシフトしつつあります。
今すぐあなたがすべきことは、ポートフォリオの見直しです。
- 株式60〜70%、ゴールド20〜30%、現金・日本高配当株10〜20%という黄金比率を参考に、リスク分散を実現する
- 金関連ファンドを新NISAの枠内で組み入れ、為替リスクと市場調整リスクに備える
- 過去のリターンだけを見て判断せず、将来のリスクシナリオを冷静に検討する
株だけでは危ない。金という「第3の選択肢」を、今すぐポートフォリオに加えましょう。


