【2026年1月8日|本日の為替予想と指標】ドル円・クロス円・ユーロドルの現状推移と今後の見通し|新規失業保険申請件数

経済分析


2026年1月8日(木)、外国為替市場は極めて重要な局面を迎えています。

年初からの波乱含みの展開が一巡し、市場参加者の関心は再び経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)へと回帰しつつあります。

特に本日は、米国経済の堅調さと労働市場の動向を占う上で欠かせない「新規失業保険申請件数」の発表を控えており、これが週末の雇用統計に向けた決定的な先行指標となる可能性が高まっています。
先週末に発生したベネズエラ情勢に関連する地政学的リスクは、週明けの市場において一時的なドル買いと円買い(リスク回避)を誘発しましたが、その影響は驚くべき速さで減退しました。

市場は現在、リスクオン(選好)の姿勢を取り戻しつつあり、特にクロス円市場においては円売り圧力が再燃する兆候が見られます。この背景には、地政学的イベントが世界経済の実体、特に原油供給に与える影響が限定的であるとの冷静な分析が浸透したことがあります。

現状分析

地政学的リスクの消化と「リスクオン」への回帰プロセス
2026年の幕開けは、ベネズエラでの政変(マドゥロ大統領の拘束と米軍の関与)という衝撃的なニュースと共に始まりました。通常、こうした突発的な地政学的イベントは、投資家の不安心理を煽り、安全資産とされる日本円(JPY)やスイスフラン(CHF)、そして基軸通貨である米ドル(USD)への資金逃避を招きます。実際に週初の為替市場では、瞬間的なボラティリティの上昇とリスク回避的な動きが観測されました。
しかし、1月8日時点での市場心理は、冷静さを取り戻すどころか、むしろ「過度な懸念の剥落」によるリスク選好(Risk-on)へと傾斜しています。これには複数の要因が絡み合っています。第一に、原油市場の反応が限定的であったことです。ベネズエラは世界有数の埋蔵量を誇りますが、近年の生産設備老朽化や制裁により、世界供給に占める実際のシェアは低下していました。そのため、市場は「供給ショックは起きない」と判断し、原油価格は早期に安定を取り戻しました。
この「地政学的ノイズの消化」は、為替市場において極めて重要な意味を持ちます。避難先として買われていた円が売られやすくなる一方で、資源国通貨である豪ドル(AUD)やカナダドル(CAD)、あるいは高金利通貨への資金還流(キャリートレードの再開)が促進される土壌が整ったと言えるからです。

米ドルの立ち位置:「1月の季節性」と金融政策の綱引き
米ドル(USD)の動向を分析する上で無視できないのが、「1月の季節性(January Effect)」です。歴史的に、1月は米ドルが堅調に推移しやすい月として知られています。これは、米国企業による海外収益の本国送金(レパトリエーション)や、年替わりに伴うポートフォリオの再構築(リバランス)がドル需要を喚起するためとされています。2026年の年始もこのアノマリー(経験則)が機能しており、ドルインデックス(DXY)は底堅い動きを見せています。
一方で、中長期的には米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ観測がドルの上値を抑える要因として存在します。市場の一部では、2026年中の利下げ開始時期やペースを巡る思惑が交錯しており、これがドルの独歩高を防いでいます。BoJ漸進正常化も実質金利負で円安継続(USD/JPY 160超予想)、FRB 1-2回利下げへ中立3%前後。結果として、現在のドルは「短期的な需給要因による上昇圧力」と「中期的な金利見通しによる下落圧力」の狭間で均衡しており、明確な方向感を出すためには、新たな材料(触媒)が必要な状態にあります。

日本円の脆弱性:構造的な円安圧力の継続
日本円(JPY)を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続いています。日本銀行(BoJ)は2025年末にかけて政策修正を行いましたが、欧米との絶対的な金利差は依然として大きく開いたままです。さらに、政府・日銀からは円安進行に対する口先介入こそあるものの、実弾介入やさらなる金融引き締めへの「強いコミットメント」が欠如していると市場に見透かされています。
この「円安容認」とも取れる姿勢は、投機筋にとって円売りの安心感を与える材料となっています。特に、前述のリスクオン環境への回帰は、低金利の円を借り入れて高金利通貨に投資する「円キャリートレード」を再び活性化させる可能性が高く、ドル円のみならずクロス円全般において、下値の堅さを形成する主因となっています。

通貨強弱分析

現在の通貨強弱マトリクス

順位通貨強弱ステータス分析・背景
1AUD (豪ドル)最強 (Strong Bullish)中国経済指標の改善期待とRBA(豪中銀)のタカ派的スタンスが支援材料。地政学リスク後退による資源国通貨買いの筆頭。対円、対ドルともに上昇基調を維持。
2GBP (英ポンド)強 (Bullish)テクニカル的な買いシグナルが点灯中。対円では211円台に乗せ、さらに上値を追う展開。英国固有の悪材料が少なく、消去法的な買いも流入。
3USD (米ドル)中立~やや強 (Neutral/Bullish)重要指標待ちで様子見ムードがあるものの、底堅い。対円ではプラス圏だが、対オセアニア通貨では劣勢。
4EUR (ユーロ)中立 (Neutral)対ドルでは上値が重いが、対円では円安圧力に支えられて高値圏を維持。独自材料に欠ける。
5JPY (日本円)最弱 (Weak Bearish)全面安の様相。リスクオンによる円売り、金利差要因による円売りが重なり、全ての主要通貨に対して劣後している。

導き出されるトレードの方向性
この強弱関係(AUD > GBP > USD > EUR > JPY)は、本日のトレードにおいて極めて明確な指針を与えてくれます。

  • 最も優位性が高い組み合わせ: 「最強通貨を買って、最弱通貨を売る」のが鉄則です。すなわち、AUD/JPY(豪ドル円)のロング(買い)が、現在の市場環境において最も理にかなった、かつトレンドに乗る(順張り)戦略となります。
  • 次点の組み合わせ: GBP/JPY(ポンド円)のロングも強力です。ポンドのボラティリティの高さを考慮すれば、短期間で大きな値幅を狙える可能性があります。
  • 注意すべき組み合わせ: EUR/USD(ユーロドル)は、強弱関係が拮抗(中立 vs 中立)しているため、方向感が出にくく、レンジ相場になりやすい傾向があります。トレンドフォロー型の戦略よりも、レンジ内での逆張り戦略が適しています。

テクニカル完全版

ドル円 (USD/JPY)
【現在値】 156.744(前日比 +0.121 / +0.08%)
【トレンド判断】 上昇トレンド中の保ち合い

  • ドル円は2025年後半からの力強い上昇トレンド(安値切り上げ・高値更新)の中にあります。直近の動きを見ると、158.00円近辺の高値から一時的に調整しましたが、154.50円 – 155.00円のゾーンで強固なサポート(下値支持)が確認され、再び上昇に転じています。現在は156.74円付近で推移しており、前日のローソク足は陽線を形成、本日の足も始値を上回る動きを見せています。50-day SMA 156.848、200-day EMA 156.76で価格上回り上昇支持、サポート156.70/156.50、レジスタンス157.00/157.10。
  • 移動平均線分析: 短期(20日)、中期(50日)、長期(200日)のすべての移動平均線が上向き、または価格の下に位置しており、「パーフェクトオーダー(上昇トレンドの配列)」に近い形を維持しています。これは、押し目買い意欲が依然として強いことを示唆しています。RSI(14) 49.73中立、MACD bullish crossoverで上昇余地。
  • レジスタンス(上値抵抗): 157.50円(直近高値圏)、および 158.00円(心理的節目かつ前回高値)。ここを明確にブレイクできるかが最大の焦点です。
  • サポート(下値支持): 156.00円(短期的な節目)、154.50円(強力な押し目ライン)、155.50–155.00バンド。

ユーロドル (EUR/USD)
【現在値】 1.16810(前日比 -0.00071 / -0.06%)
【トレンド判断】 下降トレンド中の戻り局面、あるいはレンジ相場

  • チャート形状の分析: 日足チャート では、1.2000付近の天井から下落基調にありましたが、1.1500近辺で下げ止まり、現在は1.1680付近での揉み合いとなっています。直近のローソク足は陰線が続いており、上値の重さが目立ちます。特に、戻りを試しても長い上ヒゲをつけて押し返される展開が見られ、売り圧力が依然として残っていることを示唆しています。20-Day MA 1.17416、50-Day MA 1.16463、RSI(14) 44.81中立、サポート1.1690/1.1650、レジスタンス1.1745。
  • 相場環境: ドル円の上昇圧力と相関して、対ドルでのユーロ安が進みやすい地合いです。ただし、1.1500という長期的なサポートラインが意識されているため、一方的な下落にはなりにくく、神経質なレンジ相場が予想されます。

クロス円:全通貨ペア徹底分析
① 豪ドル円 (AUD/JPY) 【最注目】
【現在値】 105.462
【トレンド判断】 極めて強い上昇トレンド

  • 分析: チャートは105.00円 という心理的節目を力強く上抜けています。ローソク足の実体部分が長く、買いの勢いが衰えていません。移動平均線からの乖離も適度であり、過熱感を伴わない健全な上昇トレンドと言えます。通貨強弱(最強AUD vs 最弱JPY)がチャートに如実に反映されており、本日のトレードにおける最優先の買い推奨ペアとなります。
  • 戦略: 押し目待ちに徹するべきですが、勢いが強いため浅い押し目で反発する可能性があります。105.20 – 105.30付近が短期的なサポートとして機能するでしょう。

② ポンド円 (GBP/JPY)
【現在値】 211.071
【トレンド判断】 上昇トレンド

  • 分析: 211.00円 という歴史的な高値水準に到達しています。チャート形状は「カップ・ウィズ・ハンドル」のような強気パターンを経てブレイクアウトしており、青天井の様相を呈しています。ボラティリティが高いため、一度動き出すと値幅が出やすいのが特徴です。レジスタンス211.50。
  • 戦略: 210.50円付近までの調整があれば絶好の買い場となりますが、高値掴みには注意が必要です。ストップロスをタイトに設定しつつ、トレンドに乗る順張り戦略が有効です。

③ ユーロ円 (EUR/JPY)
【現在値】 183.108
【トレンド判断】 上昇トレンド

  • 分析: 全体的な円安トレンドに乗って上昇していますが、AUD/JPYやGBP/JPYに比べると上昇の角度は緩やかです。183円台に乗せていますが、上値では利益確定売りも散見されます。通貨強弱においてユーロが中立であるため、独自の上昇力というよりは「円安に引っ張られている」側面が強いと言えます。
  • 戦略: 他のクロス円と同様に買い目線ですが、優先順位としては豪ドル円やポンド円に劣ります。

④ NZドル円 (NZD/JPY)
【現在値】 90.548
【トレンド判断】 上昇トレンド(レンジブレイク)

  • 分析: 90.00円の節目を突破し、新たなレンジへ移行しようとしています。豪ドル円に追随する動きを見せていますが、上昇モメンタムはやや劣ります。しかし、90.00円がレジスタンスからサポート(ロールリバーサル)に転換したことが確認できれば、堅実な上昇が見込めます。

値動き予想

ドル円 (USD/JPY) のシナリオ分岐

  • メインシナリオ(確率 60%):157円台後半への上昇と158円トライ(失業保険<210Kで157.70ブレイク、RSI>50継続で成立)
  • 背景: リスクオンの継続と米経済指標への期待感。
  • 展開: 欧州時間からNY時間にかけて徐々に下値を切り上げ、157.50円の壁をテストしにいく展開。22:30の失業保険申請件数が良好(強い)であれば、一気に158.00円をブレイクし、158.20 – 158.30円を目指す。
  • サブシナリオ(確率 30%):156円台でのレンジ継続(指標横ばい、MACDフラットで成立)
  • 背景: 158円手前の売り圧力と材料不足。
  • 展開: 上値を試すも157.50付近で失速し、156.50 – 157.50円のレンジ内で推移。明日の雇用統計待ちの様相が強まる。
  • リスクシナリオ(確率 10%):155円台への反落(失業保険>230K割り込みで成立)
  • 背景: 突発的な悪材料や指標の極端な悪化。
  • 展開: リスク回避の円買いが復活し、156.00円を割り込む展開。

クロス円(特にAUD/JPY)のシナリオ分岐

  • 強気シナリオ(確率 70%):青天井の上昇継続(AUD強弱継続、105.30サポートホールドで成立)
  • 展開: 東京時間から欧州時間にかけて、ドル円が膠着していてもクロス円主導で上昇。AUD/JPYは106.00円の大台を目指す動きとなる。押し目が浅く、買いたいトレーダーが置いていかれる「踏み上げ相場」になる可能性が高い。
  • 調整シナリオ(確率 30%):利益確定による一時的下落(RSI70超過熱で105.00テスト後反発で成立)
  • 展開: 短期的な過熱感から、欧州時間の初動で利益確定売りが先行。しかし、105.00円近辺では強力な買いが入るため、行って来い(往って来い)の形となり、結局は高値引けとなる。

ファンダメンタルズ分析

重要為替指標一覧

時間 (日本時間)指標名重要度前回予想(コンセンサス)市場インパクト予測
22:30 米国新規失業保険申請件数 S (最重要)19.9万件21.0万件本日のメインイベント。予想より少ない(強い)場合、ドル円158円突破トリガー(過去強い結果でドル買い・円安加速)。予想より多い場合ドル売り初動も円弱でクロス円複雑。
22:30米国貿易収支B-$52.8B-$58.1B通常インパクト小だが、大幅赤字拡大はドル売り要因。
22:30米国労働生産性・単位労働コストBインフレ圧力先行指標。高いとタカ派材料でドル買い。

トレード時の注意点:ボラティリティとダマシ

  • 22:30の「魔の時間」: 新規失業保険申請件数は週次データでノイズ多いが雇用統計前哨戦で注目高。発表直後アルゴ乱高下・スプレッド拡大。
  • 対策: 発表後5-10分経過後エントリー推奨、ストップ広め。
  • オプションバリアの攻防: ドル円158.00/157.00に大規模バリア、ダマシ注意。

トレード戦略

【戦略A:最優先】 豪ドル円 (AUD/JPY) の積極的トレンドフォロー

  • コンセプト: 「最強通貨AUD × 最弱通貨JPY」の歪みを突く。
  • エントリー条件: 15分足または1時間足での短期移動平均線(20EMAなど)へのタッチ、あるいは105.30 – 105.40円ゾーンへの反落を確認後の反発。
  • ターゲット: 第一目標:105.80円 第二目標:106.00円
  • 損切り (Stop Loss): 104.90円(105円の節目割れ確定)

【戦略B:メイン】 ドル円 (USD/JPY) の「条件付き」ブレイク狙い

  • コンセプト: 158円の岩盤を突破するエネルギーに乗る。
  • エントリー条件: 22:30の指標発表後、158.10円以上の価格で15分足の実体が確定すること。ヒゲでの突破はエントリー不可。(失業保険<210K)
  • ターゲット: 第一目標:158.50円 第二目標:159.20円
  • 損切り (Stop Loss): 157.60円(ブレイク失敗による反落確認)

【戦略C:サブ】 ユーロドル (EUR/USD) のレンジ逆張り

  • コンセプト: 方向感の無さを利用した回転売買。
  • エントリー条件: 1.1780 – 1.1800円ゾーンへの上昇で「売り」。または、1.1620 – 1.1640円ゾーンへの下落で「買い」。
  • ターゲット: レンジの中央値(1.1700付近)
  • 損切り (Stop Loss): レンジ外への明確なブレイク(20pips程度の余裕を持つ)

結論:本日の勝負所

本日の主戦場はドル円だけではありません。むしろ、明確なトレンドが発生しているクロス円(特に豪ドル円やポンド円)にこそ、大きな収益機会が潜んでいます。

ドル円が158円という壁に挑むその横で、クロス円は既に青空圏を駆け上がろうとしています。


読者の皆様におかれては、指標発表時のノイズに惑わされることなく、「通貨強弱」という羅針盤を信じ、トレンドに逆らわない素直なトレードを心がけてください。