2026年1月第4週(1月19日から23日)は、為替市場にとって極めて重要な一週間となります。日本銀行の金融政策決定会合、中国の第4四半期GDP発表、英国のCPI発表など、相場を大きく動かす重要イベントが集中しており、高いボラティリティが予想されます。本記事では、プロの視点から主要5通貨ペアの見通しをテクニカル分析と経済指標の両面から徹底解説します。
今週の為替市場を動かす3つの重要ポイント
1. 日銀金融政策決定会合(1月23日)が最大の焦点
1月23日に開催される日銀金融政策決定会合は、今週最大の注目イベントです。市場では現状維持(政策金利0.75%)が確実視されていますが、植田総裁の記者会見での発言内容が円相場を大きく左右する可能性があります。
追加利上げのタイミングや為替への言及があれば、円買いが加速する展開も想定されます。逆に、緩和姿勢の継続が示唆されれば、円安圧力が強まるでしょう。
2. 中国第4四半期GDP(1月19日)が豪ドルの方向性を決定
週明け1月19日午前11時に発表される中国の第4四半期GDPは、オーストラリアドルの動向を左右する重要指標です。市場コンセンサスは前年比4.5から4.8%の成長を見込んでいます。
予想を上回れば中国経済への悲観論が後退し、資源国通貨である豪ドルが買われる展開となります。一方、期待外れの結果であれば、豪ドル売りとリスクオフの円買いが重なり、豪ドル円は大きな下落圧力に直面するでしょう。
3. ドル円160円攻防と為替介入警戒
ドル円は現在158.035円と歴史的な円安水準にあり、心理的な節目である160円に迫っています。この水準は日本の通貨当局による為替介入の可能性が急激に高まる重要ラインとして機能しています。
過去の介入実績を踏まえると、160円を明確に超えた場合、実弾介入による数円幅の急落リスクが最大化します。トレーダーは慎重な対応が求められます。
通貨ペア別詳細分析と取引戦略
ドル円(USD/JPY)見通しと戦略
現在レート 158.035円
予想レンジ 156.50円から160.20円
基調トレンド 上昇(ただし介入警戒感により神経質な展開)
テクニカル分析
ドル円の日足チャートは明確な上昇チャネルを描いており、移動平均線(21日、50日、100日)はすべて上向きで推移しています。テクニカル的な地合いは買い優勢ですが、RSIやMACDには過熱感が見られ始めており、上昇モメンタムは徐々に衰えつつあります。
重要な価格帯
レジスタンス(上値抵抗)は159.50円から160.00円のゾーンです。この水準はテクニカルな抵抗線であると同時に、財務省による防衛ラインとしての意味を持ちます。オプション市場では160円ストライクのバリアオプションが大量に観測されており、この水準に近づくにつれて激しい攻防が予想されます。
サポート(下値支持)は157.50円から158.00円のゾーンです。158.00円近辺は過去のレジスタンスがサポートに転換した重要な水準であり、強力な買い支えが期待できます。
日別の値動き予測
1月19日(月) 米国市場がキング牧師記念日で休場となるため、流動性が低下します。中国GDP発表の結果を受けたリスクセンチメントの変化が主導する展開となるでしょう。予想レンジは157.80円から158.50円です。
1月20日(火)から22日(木) 日銀会合を控え市場は様子見ムードを強めますが、高市首相の発言や報道があれば敏感に反応する展開となります。じりじりと下値を切り上げ、158.50円から159.50円のレンジへ移行すると予想されます。
1月23日(金) 日銀会合の結果発表が最大のイベントです。コンセンサス通り現状維持であれば、緩和継続の安心感から円売りで反応し、160円をトライする動きとなる可能性があります。しかし植田総裁の会見で将来的な利上げや円安への懸念が示されれば、一転して急落するリスクもあります。
プロの取引戦略
メインシナリオ(押し目買い戦略)
現在の地合いでショートポジションを取るのは、トレンドへの逆行という大きなリスクを負うため推奨しません。基本戦略は押し目買いです。
エントリーポイントは157.60円から157.85円のゾーンでの指値買いです。ストップロスは157.00円割れに設定し、明確なトレンド転換シグナルで損切りします。利益確定は159.40円から159.60円で、160円手前での確実な利食いを目指します。
160円台への突入時は新規エントリーを見送るのが賢明です。介入リスクがリワードを上回るためです。
サブシナリオ(イベント対応ショート)
日銀会合でサプライズの利上げや財務省による実弾介入が確認された場合、急落後の最初のリバウンドを売る戦略が有効です。ターゲットは154.50円から155.00円エリアとなります。
ユーロ円(EUR/JPY)見通しと戦略
現在レート 183.294円
予想レンジ 181.50円から185.20円
基調トレンド 強気(上昇チャネル内での推移)
テクニカル分析と市場心理
ユーロ円はドル円以上にキャリートレードの対象として選好されています。ECBの利下げ観測はあるものの、絶対的な金利水準は日本より遥かに高く、ユーロ圏経済の底堅さがリスクオンの円売りを支えています。
チャート上では美しい上昇トレンドラインが機能しており、181円台後半に位置する50日移動平均線が強力なサポートとして意識されています。
184.28円を抜けると上昇が加速する可能性が高く、次の心理的節目は186.00円となります。
週間値動き予測
週前半はユーロ圏CPI改定値やZEW景況感調査が材料となります。週後半は日銀会合に左右されますが、ドル円と比較して介入警戒感が薄いため、ドル円が160円で頭を抑えられている間に、ユーロ円がアウトパフォーム(ドル円以上に上昇)する展開が予想されます。
プロの取引戦略
スイングロング(中期保有)戦略が有効です。エントリーは182.20円から182.80円のゾーンへの調整局面で積極的に拾います。ストップロスは181.40円(50日移動平均線割れ)に設定し、利益確定は185.00円から185.50円を目指します。
日銀会合で現状維持となり円安安心感が広がった場合、最も上昇余地が大きいのはドル円ではなくユーロ円やポンド円である可能性があります。ドル円の160円の壁を回避しつつ円安ポジションを取りたい投資家にとって、ユーロ円は最適な代替手段となります。
ポンド円(GBP/JPY)見通しと戦略
現在レート 211.401円
予想レンジ 209.50円から214.50円
基調トレンド 上昇(ただし高値圏での乱高下)
テクニカル分析とボラティリティ
ポンド円は極めて高いボラティリティを伴って推移しています。現在は211円台での攻防が続いていますが、日足チャートでは高値圏での保ち合いを形成中であり、エネルギーが蓄積されています。
212.00円が短期的なレジスタンスとなっており、ここを明確に抜けると214円を目指す動きが再開します。一方、210.30円が重要なサポートで、ここを割ると209円、207円へと調整が深まる可能性があります。
経済指標による影響
来週のポンド円は最もエキサイティングかつ危険なペアとなるでしょう。
1月20日(火) 英雇用統計 賃金上昇率が高止まりしていれば、英中銀の利下げ期待が後退し、ポンド買い材料となります。
1月21日(水) 英CPI これが最大のトリガーです。予想(前年比3.3%)を上回る結果が出れば、金利高止まりが好感され、ポンド円は213円から214円へ急伸する可能性があります。逆に下振れすれば、一気に210円割れを試すでしょう。
プロの取引戦略
ポンド円のような高ボラティリティ通貨では、重要な水準を抜けた方向についていく順張りが有効です。
ロング戦略として、英CPI発表後に212.20円を明確に超えて15分足が確定した場合にエントリーし、ターゲットは214.00円とします。ショート戦略では、210.80円を割り込んだ場合にエントリーし、ターゲットは209.50円とします。
日銀会合前後にはスプレッドが極端に拡大する恐れがあるため、ポジションをスクエア(ポジションなし)にしておくことを強く推奨します。
豪ドル円(AUD/JPY)見通しと戦略
現在レート 105.585円
予想レンジ 103.80円から107.50円
基調トレンド 中立から強気(中国次第)
ファンダメンタルズ分析
豪ドルはオーストラリア国内の事情以上に、最大の貿易相手国である中国の経済動向に左右されます。1月19日の中国GDPが予想(4.5%から4.8%)を上回れば、コモディティ価格上昇期待を通じて豪ドルが買われます。
また1月22日の豪雇用統計も重要であり、労働市場の逼迫が確認されれば豪中銀のタカ派姿勢維持が意識されます。
テクニカル分析
豪ドル円は105円台での推移が続いていますが、106.50円付近にはボリンジャーバンドの上限や過去のレジスタンスが存在し、上値の重い展開となっています。一方で104.80円から105.00円のゾーンには強力なサポートがあり、底堅さも見せています。
プロの取引戦略
イベントドリブン(指標発表狙い)戦略が有効です。
1月19日(月)午前 中国GDP発表(11時)直後のプライスアクションに注目します。ポジティブサプライズ(GDP4.9%超)であれば成り行きでロングを入れ、106.50円ブレイクを狙います。ネガティブサプライズ(GDP4.4%未満)であれば成り行きでショートを入れ、104.00円割れを狙います。
豪ドル円はリスクセンチメントのバロメーターであるため、日銀会合の結果が緩和継続であれば株高とともに上昇しやすく、逆に引き締めであれば株安とともに最も大きく売られるクロス円の一つとなります。
ユーロドル(EUR/USD)見通しと戦略
現在レート 1.15968
予想レンジ 1.1520から1.1680
基調トレンド 下落(ベアトレンド)
ファンダメンタルズ分析
ユーロドルは米連邦準備制度理事会と欧州中央銀行の政策方向性の違いを最も純粋に反映するペアです。米国の経済指標が強含む一方でユーロ圏経済が停滞している現状では、ファンダメンタルズは圧倒的にドル買い・ユーロ売りを示唆しています。
テクニカル分析
1.1600という重要なサポートラインを割り込んでおり、テクニカル的にも下落圧力が強い状況です。
レジスタンス(上値抵抗)は1.1620から1.1635のゾーンと1.1675(50日移動平均線)です。サポート(下値支持)は1.1580(200日移動平均線)と1.1500(心理的節目)となります。
200日移動平均線を下抜けるかどうかが今週の焦点であり、ここを明確に割ると1.1500、さらには1.1400台への下落トレンドが確定します。
プロの取引戦略
戻り売り戦略が有効です。1.1620から1.1650のゾーンへの戻りを待ってショートエントリーし、ターゲットは1.1550、その次は1.1500とします。ストップロスは1.1700超えに設定します。
1.1500ジャストなどの強い節目では短期的な反発狙いのロングも検討できますが、あくまで短期決戦とします。
今週の重要経済指標スケジュール
1月19日(月)
11時(日本時間) 中国 第4四半期GDP、12月鉱工業生産・小売売上高
GDP予想は前年比4.8%です。豪ドル円と豪ドル米ドルに直接的な影響を与えます。強い数字であれば豪ドル急騰とクロス円の連れ高、弱い数字であれば豪ドル急落とリスクオフの円高が予想されます。
終日 米国 キング牧師記念日で休場
ドル円は流動性が低下し、ニューヨーク時間は動意が薄くなりますが、突発的な仕掛け売りには注意が必要です。
1月20日(火)
16時 英国 12月失業率・雇用統計
失業率予想は4.4%です。賃金データが強ければポンド買い材料となります。
19時 ドイツ・EU ZEW景況感調査
ユーロ圏センチメントの先行指標として、ユーロ円とユーロドルに影響を与えます。
1月21日(水)
16時 英国 12月消費者物価指数(CPI)
予想は前年比3.3%です。ポンド円にとって今週最大の山場となります。インフレが粘着していれば利下げが遠のき、ポンド急騰の可能性があります。逆に予想を下回ればポンド急落となります。
1月22日(木)
9時30分 オーストラリア 12月雇用統計
豪中銀の政策判断に直結する重要指標です。
21時30分 欧州 ECB理事会議事要旨
ハト派色が強ければユーロ売りが加速します。
22時30分 米国 新規失業保険申請件数、第3四半期GDP確報値
米経済の強さが再確認されればドル買い材料となります。
1月23日(金)
8時30分 日本 12月全国消費者物価指数(CPI)
予想は2.1%です。インフレが加速していれば日銀会合でのサプライズ期待で円買いとなります。
昼頃 日本 日銀金融政策決定会合
政策金利0.75%の維持が予想されています。今週最重要イベントです。現状維持であれば円売り安心感でドル円が160円をトライする展開、政策変更やタカ派姿勢であれば円急騰で155円方向への動きが予想されます。
15時30分 日本 植田総裁定例記者会見
総裁のニュアンス(タカ派かハト派か)で相場は乱高下します。為替への言及やそのトーンに注目が集まります。
プロが実践するリスク管理術
ポジションサイジングの重要性
今週のような中央銀行ウィークかつ介入警戒水準でのトレードにおいて、最も重要なのは予測の的中率ではなくリスク管理です。
通常時の50%から70%程度のポジションサイズに抑えることを推奨します。ボラティリティの拡大により、ストップロスまでの距離を広く取る必要があるため、サイズ調整でリスク額を一定に保ちます。
介入対策の具体的手法
ドル円のロングポジションを持つ場合、必ずストップロスを設定してください。スリッページで約定しないリスクはありますが、設定しないよりは遥かにマシです。
また週末(金曜引け)にかけてのポジション持ち越しは、週末のニュースリスク(政府要人発言など)があるため極力避けましょう。
相関性を利用したヘッジ戦略
ドル円のロングを持ちたいが160円の介入が怖い場合、以下の戦略が有効です。
ユーロ円ロングへの分散 介入は主に対ドルで行われるため、ドル円が急落してもユーロ円の下落幅は相対的に小さい場合があります(ユーロドルが上昇するため)。
豪ドル円ショートの併用 リスクオフ(介入や日銀ショック)の際、最も大きく下落するのは高ベータ通貨である豪ドル円である可能性が高くなります。ドル円ロングのヘッジとして少量の豪ドル円ショートを持つことで、ポートフォリオ全体の下落リスクを緩和できます。
メンタルマネジメントの極意
高市首相の発言や日銀のリーク記事など、突発的なヘッドラインで相場が急変するノイズが多い週となります。
初動は見送る アルゴリズムによる瞬間的なスパイク(ヒゲ)に飛びつくと、高値掴み・安値売りになることが多くあります。1分足や5分足の確定を待ち、冷静にトレンドが発生したかを確認してからエントリーしても遅くはありません。
バイアスの排除 介入があるはずだ、利上げするはずだという思い込み(確証バイアス)は致命傷になります。チャート(価格)が示す事実だけに従い、シナリオが崩れたら即座に撤退する柔軟性を持ちましょう。
まとめ 来週の為替相場で勝つための3つの鉄則
2026年1月第4週の為替市場は、ドル円の160円攻防と日銀会合という二大イベントを軸に展開されます。ファンダメンタルズ(日米金利差、米経済の強さ)は依然としてドル高・円安を支持していますが、政治的圧力と介入警戒感がその頭を抑えつけている構図です。
鉄則1 トレンドには逆らわず、リスクからは距離を置く
基本は円売りスタンスですが、致命的なリスク(介入・日銀サプライズ)からは距離を置くことが重要です。ドル円での深追いは避け、テクニカル的に素直な動きが期待できるユーロ円の押し目買いや、イベントドリブンでの豪ドル・ポンドの短期売買に好機を見出すべきです。
鉄則2 ポジションサイズを通常の半分以下に抑える
ボラティリティが高い週ですので、通常の50%から70%程度のポジションサイズに抑え、一つの取引で口座資金の1%から2%以上のリスクを取らないようにしましょう。
鉄則3 日銀会合前にはポジション整理を検討
1月23日の日銀会合前には、保有ポジションの一部または全部を決済し、リスクを軽減することを検討してください。会合後の値動きを確認してから改めてエントリーする方が、安全性の高い取引となります。
来週は単に利益を追求するだけでなく、市場の構造変化(政治主導の相場への移行)を感じ取り、生き残るためのリスク管理能力が試される一週間となるでしょう。慎重かつ戦略的なアプローチで、この重要な週を乗り切ってください。
免責事項 本記事は情報提供を目的としており、投資助言や勧誘を目的とするものではありません。


